ボディーガードによる
精神疾患者の病院への入院移送。
あまり聞き慣れないかもしれませんが
精神疾患者のご家族には
結構、選択肢の一つになります。
リスクが高く経験も必要となるため
警備会社も行わない所が普通だと思います。
どんな内容なのかご紹介しましょう。
私がボディーガードの精神疾患者入院移送を始めたきっかけ
「身辺警護SP学院」の講師である
元警視庁SPの
伊藤先生にはいろいろと指導していただき
私の主宰している「SPアカデミー」でも
卒業検定などでは
試験官もしていただいていますが
その警護員養成学校を見学に行ったとき
学生の訓練で
クライアント役をさせていただき
その後「東京パトロール」という
やはり伊藤先生さんから
SP ボディーガードの訓練を受けて
身辺警護をしている警備会社を
伊藤先生に案内していただきました。
東京パトロールの代表とは
SP ボディーガードの訓練で
面識はありましたので
「ご無沙汰しております」
みたいな感じで
SP ボディーガードの現状などを
説明していただいたのですが
その時に精神疾患者の
入院移送業務のことも
説明していただけました。
自分としては精神疾患者???・・・
「そんな仕事があるのか・・・」でしたが
伊藤先生が
「訓練生も参加しているんですよ」と言われ
「へ~?訓練生を?」 「なぜ?」
と、思ったのですが
東京パトロールさんが
「関西からも問い合わせが来ますから
西岡さんもどうですか」
と言われ
単純ですが人は何事も信頼関係ですよね?
伊藤先生も関わっているくらいだから
間違いないかな?
さっそくホームページを作りました(笑)
ただ信頼関係だけで
何も考えず始めようと思ったのですが
「精神疾患者とは?」
ここからのスタートだったので
結構本も読んだし
セミナーなどにも参加して
ある程度の状況を
理解しようと勉強しました。
頭の中で考えれば考える程
「これは、難しいぞ!」と思い
本当に自分に出来るのか?
自問自答する日々でした。
今でももっと良い方法はないものか?
現場を繰り返しながら考えています。
精神疾患者の入院移送について
詳しくはこちらをどうぞ。
精神疾患者の入院移送はボディーガードでもリスクが高い!
精神疾患者入院移送の初めての現場
初めて精神疾患者の移送を依頼された現場で
移送当日に対象者が逃げてしまい
一日捜索で終わってしまった失敗をしました。
実際には自分達が到着するまでに
対象者が
何処かに出かけてしまったのですが・・・
この時はまだ
メンバーも確定せずに見切り発車でしたが
車も料金も確定していない時に
依頼が来てしまった状況でした。
「無理です」
とも言えず受けてしまったのですが
面接して聞き取りもせず
電話で状況を少し説明してもらっただけの
今から思えば
「失敗して当然」
このような状況でした。
自分達が行ってから
逃げられていたら最悪でしたね。
只、当日対象者がいない状況は
今でもよくあることです。
面談の時に依頼者には
「入院移送の日に対象者は家にいますか?」
必ずご家族に聞きますが
家族もハッキリわからない
こういうことはよくあります。
出かける可能性のある対象者の場合は
朝早くにしたり、出かけ先を
ある程度予想して行動します。
一日捜索で終わってしまった案件の時は
対象者は40代で
依頼者は対象者の妹のご主人でした。
対象者は入退院を繰り返していて
暴力的になってきたので
「初めて業者に頼んだ」
それで依頼者の方から
「スミマセン。
いつも用事があるときに居ないんですよ!」
「何か感づくんですかね?」
と言われたので
自分も
「何かあるみたいですね。
ありがちなことなので
気にしないでください」
と言いながら内心「ホッ」としました。
最初にして大失敗の展開でしたが
その後のためには
大いに役に立った失敗でした。
この失敗を糧にして
依頼案件の受け方を作成していたときに
直ぐ次の依頼がありました。
対象者は50代の男性で
依頼者は息子さんでした。
早くに離婚していたのですが
町工場の社長さんでした。
経営がうまくいかなかったのと
人から裏切られたりで借金が膨らみ
5年ほど前から
おかしな言動が始まったようです。
息子さんは工場を売って
終わらせたいと思っているのですが
当然、お父さんとは話がかみ合わず
病院に相談すると
「統合失調症」と診断され
「連れて来れば入院できる」
こう言われたようで
私の所に連絡が来ました。
初めて精神疾患と診断されている人との
対面だったので緊張しましたが
一緒に行くメンバーは
アカデミーの卒業生なので
怪我をさせないよう
「合図をするまでは待機して」
と、言って自分だけ部屋に入りました。
本当にどうなるか計算が出来ないので
「さあ、どうする?」の状況で
工場の2階が住居だったのですが
階段を上がると2階は真っ暗!
3部屋あったのですが暗い中でも
ぐちゃぐちゃなのが見えて来て
「なんだこりゃ!」
「やばい!」「まいったな~・・」
と思いつつ対象者がいるリビングへ。
対面した瞬間に
「誰やお前!」
と跳びかかってきそうな勢い!
階段の上り口で待機していた卒業生が
飛びだそうとしたのを手の合図で制止して
対象者をなだめながら約2時間。
テーブルにはビスや箸、フォークなど
凶器になりそうな物ばかりで
注意しながら対象者がどの話題で噛み合うか
ここをずっと探しました。
警官が自分の事を
「異常者扱いする」
この不満が多くなってきたので
「じゃ、今から病院で異常者じゃない
と、診断書をもらいましょう!」
この言葉に反応して
「判った。行こう」と言ったので
速効で車に乗せました。
精神疾患者の入院移送から思うこと
精神疾患者移送は
昔はやくざみたいな連中が
何百万もの金額で受けていて
突然家に押し入り
布団などです巻き状態にして
担いで病院に連れ込んでいたようです。
実際に私達が病院に移送した時に
担当の医師から
「業者さんが連れてくると聞いていたので
す巻きで担いでくると思っていました」
と言われ
「凄いですね!
業者さんと本人が
歩いて来たのは初めてです」
こう言われましたが
「今までどんな連中がやっていたんだ?」
と、不思議でした。
病院では対象者やご家族
そして病院側の希望で
「医師の診断に立ち会う」
何度か経験したのですが
「入院宣告」
この時に対象者から
「あんた、なんとか言ってくれよ!
あんたを信用して来たのに!」
こう言われたこともあります。
通院で医師の対応や
入院に対しても
病院側の対応などは様々ですが
不親切だな~と思う事はよくあります。
家族だけでは
どうしようもないと判っていても
行政としても何のサポートもない状況です。
精神疾患者だけでなく
ひきこもりに対してでも
積極的なサポートがあれば
もっと軽い段階で
克服できると感じています。
ひきこもりの脱出について
詳しくはこちらをどうぞ。
ひきこもりの脱出のきっかけにボディーガードが役立つ!現状と対策は?
まとめ
「SPアカデミー」の卒業生の
仕事を増やしていこうという
単純なきっかけで始めた
精神疾患者の入院移送ですが
リスクは高く経験も必要です。
ただ単に
「仕事」
こうい感覚では失敗も多くなり
精神的にも、仕事として
続けられないと思います。
始めるきっかけは単純なものでも
始めたあとから
知識と経験を積み重ねる気持ちがないと
仕事として成り立たないものですね。
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